【渓流釣り】気象データと3つのグラフで読み解く初めてのエリア攻略【開田高原編】

今回は、私が渓流釣りで初めてのエリアを訪れる際、事前に行っている情報収集活動の1つをご紹介します。
年券を購入したばかりの初めてのエリアで、十分な事前情報を得られることなど、まずありません。
せいぜいネット上にある大手サイトの記事や、場所も条件も分からない誰かの釣行記を読む程度でしょう。

私も参考としてネット検索はしますが、それだけでは現地の状況や雰囲気まで見えてきません。
そこで気温と降水量のデータからシーズン全体の動向を予測し、釣行を組み立てています。
貴重な週末を無駄にしたくないので、こういう活動でも釣果の向上を図っています。

本記事では、通い始めてまだ2か月の開田高原を例に、過去5年間(2021~2025年)の気温・降水量と「モンローのキスマーク」という3種類のグラフを使用。
シーズンを「春」「初夏」「盛夏」「秋」の4つに分け、各時期の渓流釣りの状況を考察します。

もちろん、データだけですべてを判断できるわけではありません。しかし、情報も経験もないエリアを攻略するうえでは、非常に有効な手掛かりになります。
また、現地では毎回必ず、1日に2~3回は水温を測るようにしています。

グラフ化したデータと現地の状況を何度も照らし合わせることで、次第に見えてくるものがあります。
その経験の積み重ねが、いわゆる「釣り人の勘」の精度を高めていくのです。

これから渓流釣りを始める方や、初めてのエリアの攻略に悩んでいる方の一つの参考になれば幸いです。

私の開田高原での初の渓流釣行↓
▶【1日目】開田高原初遠征!増水の白川・西野川でイワナ連発
▶【2日目】開田高原初遠征!激戦の土日でも後半は好釣果!

目次

開田高原の気温と降水量を確認する

今回使用したのは、標高1,130mに位置する開田高原アメダスの2021~2025年のデータです。

3月1日から9月30日までの日ごとの平均最高気温と平均最低気温を求めると、期間全体では平均最高気温が20.4℃、平均最低気温が8.4℃となりました。

2021~2025年の開田高原の平均気温のグラフ

降水量は、同じ7日間に降った量を5年間で平均しています。
3~9月の週平均は56.9mmですが、少ない週は20~30mm前後、多い週は80~100mm前後まで増えています。
8月中旬には約144mmという突出した期間もあり、夏だからといって常に渇水する地域ではないことが分かります。

2021~2025年の開田高原の週ごとの平均降水量のグラフ

※最後のグラフは9月27~30日の4日間です。

モンローのキスマークから時間帯を考える

「モンローのキスマーク」は、往年のフライフィッシングの名手・加藤須賀雄氏が伊豆半島の狩野川で観察した、カゲロウ類の活動時間帯の季節変化を示す概念図。

春は暖かい日中に集中し、季節が進むにつれて朝と夕方へ二つに分かれます。
盛夏には日中の空白が最も大きくなり、秋以降は再び正午付近へ収束していきます。

寒冷地では横幅が狭く、春秋の上下の帯が正午付近へ寄った形になります。
温暖地では横幅が広がり、盛夏の帯は朝夕へ大きく分かれます。
(私はエリアに応じて自分なりの偏差を加えています)

この図は狩野川での観察例であり、そのまま開田高原へ当てはめることはできません。
標高1,130mの開田高原では季節の進行が遅く、春の飛翔開始は遅れ、秋は早く収束します。

また、カゲロウが飛翔する時間とルアーへの反応が完全に一致するわけでもありません。
しかし、ルアーとフライの違いはあっても、水生昆虫が活動する時間帯は渓魚の捕食行動を推測するヒントになります。

春(3~4月)の開田高原を予測する

気温の変化

3月の日ごとの平均最高気温は約2~13℃で、月平均では約7℃。
平均最低気温は約−10~−1℃、月平均では約−5.6℃です。

4月に入ると平均最高気温は約10~19℃、月平均約14.5℃まで上がります。
一方、平均最低気温は約−5~3℃、月平均では約−0.3℃にとどまり、朝は常に氷点下と考えるべきです。

降水量の変化

3月の7日間降水量はおおむね29~60mm。
4月も23~54mm程度の週が中心ですが、終盤には約90mmまで急増。平均値を大きく上回っています。
よって、4月後半からは早春の渇水から水量は急速に回復してくると思われます。
しかし暖かい日が続くと雪解け水が入り、水量が増えても水温は上がりにくい可能性があります。

予測される釣況

3月は平均最低気温が氷点下であり、水温もシーズンで最も低い時期。
魚が速い流れまで出てルアーを追うことは少なく、淵、深み、流れの緩い場所に定位している可能性が高いでしょう。

狩野川のモンローのキスマークでは、3月の飛翔時間はおよそ10~14時に集中しています。
さらに寒い開田高原では、狙い目が正午前後へいっそう絞られます。

したがって、春は早朝から入るよりも日差しで気温が上がる10~15時を中心に組み立てるのが合理的です。
ルアーは深い層をゆっくり通し、魚に長い距離を追わせない釣りが中心になりそうです。

4月後半は最高気温が20℃近くまで上がり、降水量も増えます。水温と水量の条件が整えば魚の活性が上向く一方、急激な雪代や増水が入ると、見た目ほど好条件にならない可能性もあります。
ルアーで楽しく釣果を望むならば、4月末からでしょうか。

初夏(5~6月)の開田高原を予測する

気温の変化

5月の平均最高気温は約12~23℃、月平均約18.4℃。
平均最低気温は約−2~9℃、月平均約4.3℃です。

6月になると平均最高気温は約18~26℃、月平均約22.2℃まで上がり、平均最低気温も約4~14℃、月平均約9.9℃。
5月後半からは朝の冷え込みが緩み、1日の中で魚が動ける時間が大きく広がる時期でしょう。

開田高原でも6月からは、ウエットスーツを使えばウエットウェーディングでやれそうです。

降水量の変化

5月の7日間降水量は約37~82mm。6月は約52~99mmで、シーズン全体の週平均56.9mmを上回る週が増えてきます。

特に5月後半から6月末は、約78mm、82mm、68mm、そして6月末には約99mmと、まとまった水量が期待できる期間です。

予測される釣況

春に比べて気温が上がり、降水量も確保される初夏は、開田高原で最も安定して魚の活性を期待できる時期の一つだと予測します。

5月前半は最低気温が氷点下近くまで下がる日もあるため、早朝より日が昇ってからの方が反応を得やすそうです。
5月後半から6月は朝の冷え込みが弱まり、瀬や落ち込みの流心付近まで魚が出てくる可能性が高くなります。

モンローのキスマークでは、5月は朝がおよそ6~9時、夕方が15~19時、6月には朝が4~8時、夕方が18~22時へ広がります。ただし、これは狩野川の例です。開田高原ではこれより日中側へ寄り、特に5月は午前後半から午後も十分な狙い目になると考えられます。

水量が安定していれば、ミノーを速い流れの中で動かし、広い範囲から魚を誘う釣りが成立しやすい時期でしょう。一方、週降水量が80~100mm近くなる期間は、実際の降り方によっては強い増水や濁りが発生します。総雨量だけでなく、直前24~48時間の降水量を確認する必要があります。

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盛夏(7~8月)の開田高原を予測する

気温の変化

7月の平均最高気温は約23~29℃、月平均約26.4℃。平均最低気温は約13~17℃、月平均約15.3℃。

8月も平均最高気温は約24~30℃、月平均約26.7℃、平均最低気温は約13~18℃、月平均約15.8℃となります。7月下旬から8月上旬が暑さのピークで、日ごとの平均最高気温が30℃前後に達します。

降水量の変化

7月上旬は7日間で約81~82mmありますが、下旬には約30~33mmまで減少。
8月上旬も約30mmですが、8月中旬には約144mmと、グラフ中で最大の値を記録しています。
その後も約35~80mmと変動が大きくなっています。

つまり、盛夏は単純な渇水期ではありません。
雨が少なく渇水する期間と、大雨によって一気に増水する期間が混在します。

実際の渓流の増水量によっては釣りが危険な状況も多いと思われますが、タイミングが合えば素晴らしい状況になる可能性があります。特にこの時期の夕立には大いに期待が高まります。

予測される釣況

降水量が30mm前後の週が続けば、水位が下がり、流れの細い支流や日当たりのよい区間では水温が上昇します。
魚は水深、日陰、流れ込み、湧水の影響を受ける場所へ集まり、晴れの日中は極めて厳しい状況が予想されます。

一方、まとまった雨の後は水量が回復し、魚の警戒心も薄れます。
ただし、8月中旬の約144mmという値は、釣りに好都合なだけではなく、急増水や土砂流入を警戒すべき水準です。
常に現地の河川情報や天気予報をこまめに確認し、時には中止・撤退の勇気が必要です。

狩野川のモンローのキスマークでは、7月の飛翔時間は朝がおよそ4~7時、夕方が19~23時。8月は朝がおよそ4~8時、夕方が18~22時で、日中の空白が最も大きくなります。

開田高原は狩野川より涼しいため、必ずしも日中の活性が完全に落ちるとは限りません。それでも、平均最高気温が26~27℃まで上がる盛夏は、朝夕を主軸にするのが効率的です。日中は標高の高い支流、木々に覆われた区間を優先すると良いでしょう。

秋(9月)の開田高原を予測する

気温の変化

9月前半の平均最高気温は26℃前後ありますが、月末には21~22℃程度まで低下。
平均最低気温も前半の15~16℃前後から、月末には9~12℃前後まで下がります。

9月全体では平均最高気温が約24℃、平均最低気温が約13~14℃ですが、1か月の間での下げ幅が大きいことが特徴です。

降水量の変化

9月の7日間降水量は、上旬が約34mm、中旬が約19mm、その次の期間は約77mm。
少雨の後にまとまった雨が入る形となり、水量の変化の幅が大きくなる可能性があります。
過去5年間のデータにもバラつきがあり、予想が難しいことが特徴です。
女心と秋の空とは上手く言ったものです(笑)

※9月27~30日は4日分の数値

予測される釣況

気温が下がることで盛夏の高水温が緩和され、日中でも魚が動きやすくなると予測できます。
特に水位が下がった後、強い濁りにならない程度の雨が入れば、反応が上向く可能性があります。

ただし、秋は単純に「涼しくなって釣りやすい時期」ではありません。
シーズン中に叩かれまくった人的プレッシャーに加え、魚が産卵を意識して移動を始める時期でもあります。

モンローのキスマークでは、9月の飛翔時間は朝がおよそ6~10時、夕方が15~20時へ狭まり始めます。さらに寒い開田高原では、朝夕に分かれていた時間帯が日中側へ戻るのも早いと考えられます。

9月前半は朝夕に入渓、冷え込みが強まる後半は日中、9~15時が有力な時間帯と考えます。
ポイントは産卵場所になりそうな場所ではなく、その前後にある深み、落ち込みなど、魚が移動途中に休む場所が良いでしょう。

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4つの時期を比較する

時期平均気温の目安7日間降水量の目安予測される狙い目
春(3~4月)最高約7~14.5℃/最低約−5.6~−0.3℃約23~90mm暖かい日の10~15時、淵や緩流帯
初夏(5~6月)最高約18.4~22.2℃/最低約4.3~9.9℃約37~99mm午前を中心に、瀬や流心まで広く探る
盛夏(7~8月)最高約26~27℃/最低約15~16℃約30~144mm朝一番、日陰、標高の高い支流、雨後
秋(9月)最高約24℃/最低約13~14℃約19~77mm前半は早朝、後半は9~15時も有力

開田高原の渓流予測の総括

今回のデータから総括すると、開田高原で最も安定した条件を期待できるのは、気温が上がり降水量も確保される5月半ばから7月頭です。

盛夏は朝夕や水温が安定した区間が有力ですが、週降水量が約30mmから144mmまで変動するため、同じ月でも状況は大きく変わります。
秋は気温低下によって日中や晴天時の条件が良くなる一方、不安定な降水量、人的プレッシャー、魚の産卵も考慮しなければなりません。

5年間の平均値から季節全体の傾向を把握したうえで、釣行直前には最新の天気予報で24~48時間の降水量をマメに確認する必要があります。

初めてのエリアで最初から正解を当てるのは難しいです。
それでも、データを分析し仮説を立てていれば、何も考えずに釣りに行くよりは釣果に恵まれる可能性はずっと高いはず。
自分の予測と実際の状況を日々照らし合わせていけば、より早く、より高い精度で、その地域の特徴を理解できるのではないでしょうか。

私は現在、年券を持っている十津川、郡上、馬瀬川上流、木曽川漁協エリアについて、同様の予測データを作成しています。

週末にしっかり釣果を挙げたい時には、過去の気象データと直近の天気予報を照らし合わせ、最も状況が良さそうなエリアを予測してから釣りに出かけます。

とはいえ、最近は岐阜・長野の新しいエリアを偵察するだけで精一杯でした。

今シーズンも残りわずか。
残された時間は、少し偵察を控えて、しっかり釣果を挙げる方へシフトしてみようと思います。

※気温・降水量の出典:気象庁「過去の気象データ検索」開田高原観測所(2021~2025年)
※モンローのキスマークの参考文献:加藤須賀雄『かげろうの釣り』

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 有料級の分析結果だと思いますが、ここに出して大丈夫ですか(笑)?
    気象等の自然環境要件に土地柄要因、例えば、水温が20℃超えが早いエリアは魚の動きが鈍るとはいえ、低温エリアの魚とは違い、たくましくその水温下でも食ってくる。みたいな事が起こりますし、ここがおもしろいところでもありますよね。
    僕個人の意見ですが、渓流ルアーフィッシングは釣行前に7,8割、結果が決まっているというような要素が最大のおもしろさだと思います。現地ではあくまで答え合わせ。

    • 以前にこれを知り合いに見せたら、noteで1記事5000円ぐらいで出せば?と言われました(笑)

      収益目的だけのあまりにもつまらないサイトが多過ぎるので、違いを出そうと思いまして(笑)

      nakさんの仰る通りで、現地では答え合わせですね!
      戦は始まる前に勝敗が8割決まっています。
      サラリーマンなので限られた休日を最大限楽しめるように、平日とシーズンオフにこういう活動を頑張っています!

      あとら渓流では入退渓点を知ってるかどうかも同様に重要です。
      なので最近は釣果度外視で偵察頑張っております

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